「空き家」ではなく「実家」という存在
不動産業者や行政は、人が住んでいない家を事務的に「空き家」と呼びます。
しかし、所有者の方と話していると、よくこんな言葉を聞きます。
「空き家なんて呼ばないでください。ここは私たちが育った大切な実家なんです」
この気持ちは、とても自然なものです。
思い出が詰まっている場所だからこそ、「処分」や「管理」といった言葉に抵抗を感じ、行動に踏み出せなくなることもあります。
そこで提案したいのが、「ふるさと管理」という考え方です。
管理ではなく「親孝行」と考える
草刈りや換気などの作業を「義務」と考えると、負担に感じてしまいます。
しかし視点を変えて、
「親が大切にしてきた家を守る親孝行」
と考えてみてはいかがでしょうか。
- 風を通すのは、家に深呼吸をさせてあげるため
- 草を刈るのは、家をきれいに整えてあげるため
目的の捉え方が変わると、実家に向かう気持ちも少し軽くなるものです。
無理に売却する必要はない
最近は「空き家は問題だからすぐ売るべき」という意見を耳にすることも増えました。
しかし、経済的に維持できるのであれば、無理に手放す必要はありません。
思い出のある家を、家族にとっての心の拠り所(ふるさと)として残すことも立派な選択です。
ただし、そのためには一つ大切な条件があります。
近隣に迷惑をかけないこと
草木が伸び放題になったり、建物が荒れたりすると、近隣の方に迷惑をかけてしまいます。
きれいな状態を維持することが、家への敬意にもつながります。
遠方ならプロの管理サービスを利用する
遠方に住んでいて定期的に通えない場合は、空き家管理サービスを利用する方法もあります。
「お金を払ってまで管理するのは…」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、
- 庭木の手入れ
- 建物の点検
- 雨漏りの早期発見
などを専門家に任せることは、家を守るための大切な行動です。
それもまた一つの家への愛情と言えるでしょう。
納得するまで維持してもよい
家を手放す決断は簡単ではありません。
心の整理がつくまで、
- 1年
- 3年
- それ以上
維持するという選択も問題ありません。
その代わり、責任を持ってきれいな状態を保つことが大切です。
大切に管理されてきた家は、いざ手放す時が来ても、きっと良い買い手が見つかる可能性が高くなります。
それは、次の住まい手へ「ふるさと」を引き継ぐことでもあるのです。
※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案についての法律・税務・登記のアドバイスを提供するものではありません。実際の手続きや判断にあたっては、弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。

