実家じまいの話を切り出せない理由
「親が元気なうちに『家をどうするか』なんて話したら、『早く死ねと言うのか』と怒られそうで怖い」
そう思って話題を避けている人は少なくありません。
しかし、話し合いをしないまま時間が過ぎると、親が認知症になったり、急に倒れたりして、何も決められないまま空き家問題に直面するケースも多くあります。
実家じまい(住まいの終活)は、親を追い出すことではありません。
「親が最後まで安心して暮らすための準備」です。
ここでは、親と揉めないための切り出し方と、最低限話しておくべきテーマを紹介します。
話を切り出すタイミング
改まって「大事な話がある」と言うと、相手は身構えてしまいます。
自然な会話の流れで話題にするのがポイントです。
帰省したタイミング
お盆や正月などの帰省のタイミングは、家の話をする自然な機会になります。
例えば、
- 「最近、階段の上り下りつらくない?」
- 「2階は使ってないなら、1階だけで生活できるようにしようか?」
といったように、親の安全を気遣う形で話を始めると受け入れられやすくなります。
ニュースを見たとき
空き家問題のニュースを見たときなども良いタイミングです。
例えば、
「最近、空き家のニュース多いよね。うちはどうするつもり?」
というように、世間話の延長で話題にするのも自然な方法です。
必ず話し合っておくべき3つのテーマ
① 家に対する想いと希望
まずは親の気持ちを聞くことが大切です。
- この家を守りたいのか
- 住みづらいと感じているのか
- 将来施設に入りたいと思っているのか
親が「先祖代々の土地だから売りたくない」と思っているのに、子どもが勝手に売却計画を立てると大きなトラブルになります。
まずは親の考えを聞くことから始めましょう。
② 財産と重要書類の保管場所
いざという時、書類の場所が分からないと手続きが進みません。
最低限、次のものの保管場所だけでも共有しておくと安心です。
- 権利証(登記識別情報)
- 実印・通帳
- 生命保険証書
現物を預かる必要はありません。
「どこにあるか」を知っておくことが重要です。
③ もしもの時の管理者
親が入院したり認知症になった場合、誰が家を管理するのか決めておく必要があります。
例えば、
- 家の鍵を管理する人
- 固定資産税を支払う人
- 水道光熱費を管理する人
兄弟姉妹がいる場合は、中心となる人(キーマン)を決めておくことが大切です。
親のためにも早めの話し合いを
親が元気なうちに家の話をすることは、決して親不孝ではありません。
むしろ、意思疎通ができなくなった後に、子どもたちが「売る」「売らない」で争うことの方が、親にとってつらい結果になる可能性があります。
「元気なうちに希望を聞いておきたい」と正直に伝え、エンディングノートなどを活用して少しずつ記録を残していくと良いでしょう。
※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案についての法律・税務・登記のアドバイスを提供するものではありません。実際の手続きや判断にあたっては、弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。

