空き家を民泊として活用するという選択肢
インバウンド(訪日外国人)の復活に伴い、空き家を「民泊」として活用したいという相談が増えています。
本格的な旅館業の許可を取得するのはハードルが高いですが、2018年に施行された「民泊新法(住宅宿泊事業法)」を利用すれば、比較的簡単に届出だけで営業を始めることができます。
しかし、この制度には年間180日しか営業できないという大きな制限があります。
このルールの中で、本当に利益は出るのでしょうか。
民泊新法の「180日ルール」とは
民泊新法では、4月1日から翌年4月1日までの1年間で、宿泊者を受け入れられる日数が上限180日と決められています。
つまり、約半年しか営業できないということになります。
残りの期間は民泊として営業できないため、次のような使い方を検討する必要があります。
- 空き家として維持する
- ウィークリーマンションとして貸す
- 短期賃貸として運用する
地方観光地の民泊収益シミュレーション
地方観光地にある4LDKの一戸建てを想定した収益モデルを見てみましょう。
- 宿泊単価:1泊20,000円(1棟貸し)
- 稼働日数:180日(フル稼働と仮定)
- 年間売上:360万円
ここから運営に必要な経費を差し引きます。
- 運営代行手数料(売上の20%):72万円
- 清掃費(1回5,000円 × 60回):30万円
- 光熱費・Wi-Fi(月3万円):36万円
- 消耗品・固定資産税など:20万円
経費合計:158万円
つまり、
手残り利益:約200万円
となります。
ただし、これはフル稼働した場合の理想的な数字です。
もし稼働率が50%(90日)になると、売上は180万円となり、利益はほとんど残らなくなります。
空き家民泊は「家主不在型」になる
空き家を民泊として使う場合、多くは家主不在型になります。
この場合、法律により住宅宿泊管理業者への管理委託が必要になります。
主な業務は次の通りです。
- 鍵の受け渡し
- 宿泊者名簿の管理
- 近隣からの苦情対応
- トラブル対応
これらの管理費用が収益を圧迫する要因になります。
民泊は「大儲け」ではなく維持費対策
民泊新法による空き家活用は、
「大きく稼ぐビジネス」
というより、
「空き家を維持しながら固定資産税や管理費を補う方法」
として考える方が現実的です。
観光地に近い立地であればチャンスはありますが、一般的な住宅街では近隣トラブルのリスクもあります。
そのため、場合によっては通常の賃貸(借家)として貸す方が安定するケースもあります。
※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案についての法律・税務・登記のアドバイスを提供するものではありません。実際の手続きや判断にあたっては、弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。

